多くの企業で人材確保とその活用が企業の生命線となっています。
新規に中途採用で優秀な人材を雇用することは喫緊の課題ではありますが、実際には採用コスト、その人材の定着化はそれぞれ大きなリスクを孕んでいます。
マイナビの調査によると、中途採用における1人あたりの年間採用費用平均は高水準で推移しており、専門性の高い即戦力人材やマネジメント層を人材紹介経由で採用する場合、年収の30〜35%の成功報酬が発生するため、採用単価が100万円を超えるケースも珍しくありません。さらに、多大なコストをかけて獲得した人材が早期離職してしまえば、その損失は計り知れません。
この意味では、既存の社員・人材が自ら成長し、優秀な人材として台頭してくることが望ましいと言えます。採用コストや定着リスクの観点から見ても、社内人材の育成に投資することは極めて合理的です。
現場で起きている「自発性」と「流出」のジレンマ
一方、社内人材が自ら成長を望み、自発的に能力開発を進めるにはどのような環境が必要とお考えでしょうか? 人事部門、各事業部門ではどのような具体的施策をとられているでしょうか?
むしろ優秀な人材が、外部に機会を求めて流出するような事態になっていないでしょうか?
実は、日本企業の多くが「従業員の自発的なエンゲージメント」に課題を抱えています。米ギャラップ社の調査では、日本で「仕事にやりがいを感じている(熱意のある)」従業員の割合はわずか7%と、世界でも最低水準であることが指摘されています。自発的なエンゲージメントが低い環境では、優秀な人材ほど「ここには自分の成長機会がない」と見切りをつけ、外部へ流出してしまいます。
差別化戦略の成否は「人」が握っている
それぞれの企業が競争優位を図るために様々な施策をとられている筈です。例えば、競合製品に対する差別化の為の技術開発や商品企画。価格優位を保つための仕入れコストの削減、物流コストの削減、生産技術の改善による不良率の改善、生産性の改善、等々。
これらの差別化戦略を実現させるのは、やはり「人材」に他なりません。企業戦略を立ててそれを実行に移す為の適切な人材が必要となるのは、誰の目が見ても明らかです。
つまり、企業戦略に基づいた人材戦略・人材ポートフォリオが必要であり、その人材戦略に基づいた人材開発が準備されている必要があります。
人的資本経営の壁:「経営戦略」と「人材戦略」の連動
企業の中の各事業部門の責任者が、そのリーダーシップの下で正しい人材開発を実行していることが前提となりますが、普段から人事部門と事業部門の連携が丁寧に実行されているか確認する必要があります。
日経の人的資本経営調査によると、企業が人的資本経営を推進する上での最大の課題として、「経営戦略を実現する人材の育成が難しい」(48%)、次いで「経営戦略に紐づいた人材戦略の策定が難しい」(32%)が上位に挙がっています。多くの企業が、頭では「連動」の重要性を理解していながらも、現場の事業部と人事施策を結びつける仕組みづくりに苦戦しているのが実態です。
人材戦略は、決して人事部門の専任事項ではありません。事業の方向性を決定づける、経営幹部および事業責任者の重大な責任の一つとなっています。
あなたの組織では、経営戦略と現場の人材育成がバラバラになっていませんでしょうか?
事業成長に直結する「人材戦略」をどのようにつくりますか?
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